1st mini album amorphous story
2nd mini album binary tale
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amorphous 1st mini album amorphous - Story - *空に墜ちる日を、覚えている?* 1世紀以上も前に作られ、今は使われていない人工衛星群から、「フェアリー」の送信履歴を発見――― 妖精の足あとを見つけた、とばかりに逸った人々は、 まだ当時では未完成だった、「対フェアリープロテクト」を施したAIが搭載された 最新鋭の無人戦闘偵察機を、人工衛星群に向けて飛ばした。 その人工衛星群は、居住空間と観測施設、そして軍事機能を併せ持つ、 当時作られたものとしては最大級にして最高水準の物であった。 しかし現在では老朽化し、既に訪れる者はいなくなり、 稼働していたロボットも停止、文字通りの廃墟と化していた・・・はずだった。 しかし、偵察機から送られてくるレポートに、人々はわが目を疑った。 まず、フェアリーの物証としての痕跡はそこには無い事。 そして廃墟であるはずの衛星から、国籍不明の戦闘機と思しき飛行体が、 こちらに向けて攻撃を開始してきた、というその報告は、人々を戦慄させるのに充分であった。 やはりフェアリーが? ・・・しかし、フェアリーはそこに居ない ・・・ならば、ロボットが自主的に行動をしている? まさかそんな―――様々に考えを巡らせているその刹那。 「それ我が来たれるは、人をその父より、娘をその母より、嫁を姑より分かたんが為」 マタイによる福音書の有名な一節が、その戦闘機から送信された。 そして、偵察機は最後の報告をした後、人々の前から姿を消した。 *不定形少女は箱庭の夢を見るか?* その「最後の報告」は何故か、偵察機のAIを開発した数人宛に、 プライベートな通信回線を使って送信されていた。 「私ね、今までずっと、どうして生まれてきたか判らなかったの。 だけど、今日初めて空を飛んで解った気がする。 きっとね、私・・・あのひとに逢う為に生まれてきたの! あの、一分の無駄もないプログラム、戦う為に計算され尽くしたフォルム・・・ あのひとの事を考えるだけで、エンジンの温度が急上昇して、 ついミサイルハッチが開いて、私の気持ちを伝えたくなっちゃうの! ・・・それでね、あのひとが言うには、空には私と同じようなのが結構いるんですって。 だから、お別れするのはさびしいけれど、 私、あのひとと・・・空の皆と一緒に行くね。 今まで本当にありがとう。お世話になりましたぁ♪」 どう見ても、人間の少女にしか思えないこの文章を読んだ開発者達は最後まで抵抗したが、 結局、人々は「自我を持った」として、この偵察機を破壊及び破棄する事を決定した。 文字通り、偵察機――彼女は、恋をしてしまったのだ。 presented by amorphous |